≪主の祈りの学び≫10「悪より救い出したまえ」

宇田慧吾牧師

 小言というものは、ついつい口をついて出るものです。特に夫婦や親子の間では、「あまり口うるさくならないように」などと心がけていても、ふいに要らんことを言ってしまったりします。

 でも、そのような自覚症状のある小言は恐れるに足りません。本当に恐ろしいのは、『自分は正しい』と思ってする主張でしょう。家族でも恋人同士でも職場でも、『自分は正しい・相手は間違っている』と思い始めると、怒りを収めるのは難しくなります。

 そんな経験に心当たりのある方に聖書からイチオシの言葉を!!聖書では悪について「空中に勢力を持つ者」(エフェソ2:2)と言ったりします。聖書の世界像では、空中は天ではないのですが、人間から見ると天と同じ方向に見えるのです。

 「絶対に正しい。どうかんがえても正しい」と思ったらご注意を。それは天にかなっているようで、見事な悪の罠かもしれません。

 「もし神が助けてくださらなかったら、とても抵抗できない強力な避けることのできない力が、本当にあるということです。…それから離れることを、無心に求めることは、必要なことです」K.バルト

 「神さま、助けてください」と時々祈ります。自分の無力さ、汚さ、愛の無さにしみじみ降伏するときの祈りです。

 キリストは「悪に打ち勝つ知恵と力をお与えください」とは教えませんでした。必要なときには、すなおに心から「助けてください」と祈ればいいのです。