ひょんなことから保育園と児童館がある教会に赴任し、そこで働くこととなりました。当時の私は特にこどもが好きという訳でもありませんでした。けれどもすぐに、こども達のおもしろさや成長の喜びを感じるようになりました。特に、ちょっと手のかかる子について、かつての自分もそうだったためでしょうか、特別な親しみを感じました。3年務めて退職する時には、小学生の彼らがプレゼントをくれました。それは丁寧に作ってくれた雑草の押し花のしおりや自分が大きく写った写真やいかついドクロのキーホルダーでした。どれもちょっと不思議な贈り物でしたが、彼らと過ごした時間は今でも昨日のことのように思い出せます。
3年で退職したのにはいくつか理由がありました。まず、正教師試験に合格し、伝道師(補教師)の期間を終えたこと。次に、もう少し教会の仕事をしたいと思ったこと。保育園・児童館での仕事は楽しく、学びも多いものでしたが、フルタイム勤務していたため、教会の仕事は日曜日だけでした。
人事担当の牧師に「①付帯施設のない教会、②経済的課題を抱えている教会」に行きたいと伝えました。結果、紹介されたのが丹波新生教会でした。着任すると、おそろしく持て余す日々が始まりました。最初の半年間、平日はほとんど誰も教会に来ず、電話も鳴りませんでした。やることがなくて教会の隣のハローワークから出てきた青年に声をかけて、お茶をしたりしていました。まだその頃は、教会の駐車場が地域のこども達の自転車でいっぱいになる日が来ようとは思ってもみませんでした。(続く)
宇田慧吾牧師
(2024年4月21日)