宇田慧吾牧師
《ローマの信徒への手紙15章14-33節》
前回まででローマの信徒への手紙の主要な3つのテーマを終えました。
1.信仰義認:神への信頼によって救われる
2.神の計画:恵みは長い時間をかけて実現する
3.聖化:キリストに倣う者に自然と整えられていく
今回はメッセージを語り終えたパウロの個人的な心境がつづられています。
3点ピックアップします。
①「神のために働くことをキリスト・イエスによって誇りに思っています」
パウロは神のために働くことを誇りとするようになりました。
かつては「自分を誇る」タイプの人でした。
働きの内容は、まだ神に出会ってない人に、福音を伝え届けることでした。
その取り組みの中でパウロは「キリストがわたしを通して働く」ことを経験しました。
②共にいる喜び
「共にいる喜びを味わって」
「援助することに喜んで同意した」
「祝福をあふれるほど持って、あなたがたのところに行く」
こういった言葉から、パウロが教会に集められた人たちと、共にいることを喜び、協力して目標に取り組み、その成果を分かち合い喜んでいたことが伝わってきます。
昨日、ひきこもり支援で連携している相談員の方が来た時に、「一人ではできない。チームでないとできない」という話がありました。
ひきこもり支援では、複数の人が居場所支援・家庭支援・就労支援など様々な角度から寄り添うことで状況が好転することが多くあります。
逆に、どんなに優れた支援者でも、複雑な課題の全部を一人で解決できてしまうということは稀なのだと思います。
「一人ではできない。チームでないとできない」
逆に言えば、
「みんなでならできる。チームならできる」
と言ったところでしょうか。
パウロは「みんなで、チームで」という点を大いに楽しんでいたようです。
私はこの教会に来る前、東北教区でお世話になっていた牧師に「新しい教会の皆さんと協力しながら、がんばってください」とメッセージをいただきました。
また私が伝道師だった頃、「教会での働きは充実している一方で、どこか虚しさもある」という相談をベテランの牧師にしたことがありました。するとその牧師は、自身も若いころに似たような虚しさを感じたことがあったこととその転機になった話をしてから、「教会の皆さんと一緒に協力して取り組んでください」とアドバイスをくれました。
どんなに目立った成果を挙げていても、もしその取り組みを「一人で」やっているとしたら、そこには虚しさが付きまとうのかもしれません。
教会も家庭も仕事も人生も、「一人で」ではなく、出会わされた人と協力しながら、また苦楽を共にしながら生きることが、喜びを受け取る秘訣であるようです。
③互いのために祈る
「わたしのために祈ってください」
「神があなたがた一同と共におられるように」
パウロは、自分のために祈ってくれるように頼み、またローマの教会の人たちのために祈っていました。
互いのために祈り合う関係でした。
そのような自分のために祈ってくれる他者の存在は、自分が一番苦しい時に支えになります。
皆さんには「祈りのバディ」がおられるでしょうか?
私は学生時代から互いに祈り合う関係の友に支えられてきました。
これもまた「一人」ではなく、「一緒に」生きる楽しみですね。
2020年8月23日